FXの相場分析

【これだけはおさえておきたい】FXで重要な経済指標

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新聞や投資情報誌、ネットニュースなどで見かける「経済指標」。経済に影響を与えるデータであることはわかるものの、その内容や数値が表す意味を理解している人は少ないかも知れません。
今回はそんな「経済指標」をわかりやすく解説していきます。

経済指標とは

経済指標」とは、各国の政府、中央省庁、中央銀⾏等が発表する経済状況を数値化した指標(経済に関する統計)で、株式市場や為替市場などに大きな影響を与えるものです。 主な経済指標には、国内総生産(GDP)、物価指数、失業率などがあり、これらによって各国の経済状況を把握することができます。なお、⽇本の中央省庁とは、財務省、経済産業省、内閣府等、中央銀⾏は⽇本銀⾏のことです。

特徴としては、数値として経済状況を把握でき、過去と現在との比較が容易である点が上げられます。また、経済動向を把握する上で大切なバロメーターになっており、結果次第(事前予想を大きく上回る、または下回った場合、悪い状況が長く続いた場合など)では為替相場が大きく変動することもあるため、経済指標に関するニュースは注目度が⾼くなっています

なぜ経済指標が重要なの
一般的に、株価、債券価格、為替レートといった資産価格は、経済指標の数値次第で時に大きく変動することがあります。重要な経済指標については、発表⽇時以前にアナリストなどの専門家が予想の数値を発表していて、実際に発表された結果との差によってマーケットが動く可能性があります。

また、経済指標には、金利に関わるものや景気に関わるもの、企業の過去の動向や将来の見通しに関わるものなど様々な指標が存在します。具体的には以下のようなものがあります。

・金利に関する指標(政策金利)
・景気に関する指標(GDP/景況感調査、消費動向)
・雇用に関する指標(雇用統計)
・物価に関する指標(物価上昇率)
・貿易に関する指標(貿易赤字)

経済指標はその国の経済状況を把握し、通貨価格の変動を予測するために使うことができます。

経済指標の発表予想数値および前回値において、その国の経済の成長度からその国の通貨が買われ、失速度からその国の通貨は売られる、といったものとなります。

しかしながら、為替市場(マーケット)は発表数値を予測し、既に既存レートに織り込んでいる場合もあり、一概に結果が良くても悪くても価格変動があまり生じない場合もあります。

発表値と予想値との差が大きい ▶︎ 相場が動くことが多い
発表値と予想値との差が小さい ▶︎ 相場が動くことが少ない

おさえておきたい重要な経済指標

米国雇用統計

米国の雇用情勢に関するデータを集めた米国雇用統計は、主に非農業部門雇用者数と失業率、平均賃金などに注目が集まります。景気が良いと、事業を拡大するなどで企業の雇用者数は増えていきます。一方、景気が悪いと、工場停止やリストラなどで失業者が増えていきます。この統計は企業がどの程度人を雇えているか、賃金を出せているか、まだ雇う余裕があるか、などを示しています。

米雇用統計が為替関係者から注目される理由は、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を決定するうえで雇用情勢を重視している点にあります。多くの先進国の中央銀行の役割は物価の安定にありますが、FRBはそれに加えて雇用の最大化を責務としています。そのため、雇用統計が良好なら量的緩和の縮小や政策金利の引き上げ観測に、悪化したら緩和拡大や引き下げ観測につながります。

米国雇用統計の発表時刻は、毎月第1金曜日(場合によっては第2金曜日)、21時30分(米国冬時間は22時30分)です。

FOMC

米連邦公開市場委員会(FOMC)は、米国の金融政策や政策金利に関することを討議・決定する会合です。日本の日銀金融政策決定会合、欧州のECB政策理事会に相当します。
米国の政策金利が決定される重要イベントであり、世界中の投資家たちが注目しています。結果と予想が大きく乖離した場合は、ドルを中心に為替レートが大きく変動する可能性もあります。

GDP(国内総生産)

GDPとは国内総生産を指し、一定期間内に国内で生み出された付加価値の総額です。その国の経済規模を示す経済指標として、最も注目されています。

またGDPは、同国・同時期の数値が複数回発表されることも大きな特徴です。英国、米国、ユーロ圏は各四半期とも、速報値、改定値(速報値発表から約1ヶ月後に発表)、確報値(改定値発表から約1ヶ月後に発表)と3回発表されます。ドイツ、フランスでは各四半期とも、速報値、確報値(速報値発表から約2週間~4週間後に発表)と2回発表されています。日本も一次速報、二次速報(一次速報発表から約1ヶ月後に発表)と2回発表されます。

その中で最も注目されやすいのは、最初に発表される速報値です。しかし改定値や確報値でも事前予想と大きく違う結果になれば、それによって為替相場が動くケースも見られるため注意深く見る必要があります。

GDPは四半期(3ヶ月)ごとに発表されます(カナダは毎月)

ECB政策理事会

ECB(欧州中央銀行)政策理事会は、ユーロ圏の金融政策や政策金利に関することを討議・決定する会合です。
毎月1回目の会合では、ユーロ圏の政策金利などの金融政策を決定します。2回目の会合では、金融政策以外のことが討議の中心になります。また議事要旨が公開されないため、第1回目の会見後に開かれるECB総裁の発言に注目が集まります。

小売売上高

小売売上高は、百貨店やスーパーマーケット、コンビニなど小売業者の売上額をまとめた経済指標です。多くの国では、消費活動が経済活動の60%以上を占める傾向があります。消費動向は経済動向を把握する上で欠かせないこともあり、小売売上高の注目度も高くなります。なお、米国の小売売上高は毎月中旬に発表されるため注意してください。

消費者物価指数(CPI)

消費者物価指数は略してCPI(Consumer Price Index)とも呼ばれます。一般消費者世帯が購入する商品やサービスの、総合的な価格の動きを指数化したものです。インフレに関する今後の動向を分析する指標として最も一般的であり、金融当局の政策を読むうえで注目度が高いといえます。

貿易収支

貿易収支は、輸出額から輸入額を差し引いた収支です。輸出額が輸入額を上回れば貿易黒字、逆に輸出額が輸入額を下回れば貿易赤字となります。

一般的に貿易黒字になるとGDPが上昇し、貿易赤字になるとGDPが下落するといわれています。貿易収支はGDP速報値などの算出にも使われるため、投資家だけではなくエコノミストや市場関係者からも注目されている経済指標です。

日銀短観

日銀短観の正式名は「全国企業短期経済観測調査」です。四半期に一度発表され、日銀が全国の民間企業1万社に景況感や設備投資計画などをヒアリングします。日銀が直接行っていることからも、信頼性の高い経済指標です。

日銀金融政策決定会合

日銀金融政策決定会合は、日本銀行が金融政策や政策金利に関することを討議・決定する会合です。年8回、それぞれ2日間にわたって開催されます。

主に金融市場調整方針や金融政策手段、経済・金融情勢に関する基本的な見解などが討議・決定されます。日銀金融政策決定会合とともに、会見後の日銀総裁の発言にも注目が集まります。

経済指標を確認する

経済指標は、事前に発表時間、重要度、対象の国・地域、指標名などが分かりますので、取引きをする前に、これから重要な指標が発表される予定がないかどうか必ず確認しましょう。

発表時刻になると、「指標の結果」が出ますので、この結果が予想より良いか悪いかで相場の方向が変わってきます。重要度が高いほど相場の動きが大きくなる傾向があり、予想より結果がいいときはもちろん、予想通りの場合も相場が好転することが多いです。

また、見逃しがちなのが改定値です。例えば重要度の高い指標の結果が予想よりも悪かったにもかかわらず、あまり相場が下落しない場合があります。このような場合、前回発表された結果(=前回値)から修正された値(=改定値)が同時に発表されており、改定値が前回値を上回っていることが要因である場合が多いので、改定値が発表されている指標については、結果同様に確認しておくとよいでしょう。

 

 

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