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インフレ・デフレとは? インフレとデフレの基礎知識とFX取引への影響

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こんにちは、MASARUです。

経済ニュースを見ていると、「インフレ」や「デフレ」という言葉がよく出てきます。
言葉としては知っていても、その意味や経済にどのように影響しているのかを、しっかり理解できていない人もいるでしょう。

今回は、インフレとデフレの基礎知識と、FX取引への影響について解説します。

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インフレ・デフレの基礎知識

インフレとは?

インフレは「インフレーション(inflation」の略で、簡単に説明すれば「物価が高くなる」現象のことです。

例えば、3本100円で買えたバナナが2本100円になると、バナナ1本の単価は約33円から50円に上昇したことになります。このような現象をインフレと言います。

需要と供給のバランスが崩れ、需要が供給を上回っている際に起こるのがインフレです。物価が上昇するということは、「貨幣価値が落ちる」ということも意味しています。先ほどのバナナの例でいえば、100円という通貨はもともとバナナ3本分の価値があったはずですが、2本分の価値しかなくなってしまったというわけです。

デフレとは?

一方、デフレは「デフレーション(deflation」の略で、インフレとは反対の現象です。供給が需要を上回ることで物価が下がり、同時に貨幣価値が上昇している状態を指します。

インフレが急激に進むと、モノが売れなくなります。
モノの値段が大きく上がっても、給与が同じように上がることはないので、買う人の生活が苦しくなるからです。

みんなが買い物をする量を減らすと、モノが売れずに余り、売り手は少しでも売ろうと値段を下げる。その結果モノに対してのお金の価値が上がる。

例えば、2100円で売っていたバナナが売れなくなったため4本100円で売った場合、バナナ1本の単価は50円から25円に下がったことになります。これをデフレといいます。

① 商品が余ると、売り手は値段を下げて売ろうとする
② そして、モノの値段が全体的に下がる
③ そこで生産者は、商品をもっと安くするため費用を下げる目的で給料を減らしてしまう
④ 人々は収入が少なくなり、ますます買い物をしなくなり、さらにモノの値段と給料が下がり続けていく

この現象を「デフレスパイラル」といいます。

インフレ・デフレはどちらがよいのか?

物価が安くなるか高くなるか、どちらが好ましい状態なのかを庶民の感覚で考えると、当然ながら物価は安いに越したことはありません。つまりデフレのほうが望ましいということになりますが、経済学の観点からはどちらがよいのでしょうか。

どちらも極端なものは経済への影響が深刻

そもそもインフレにしてもデフレにしても、需要と供給のバランスが崩れている状態です。バランスが崩れている以上、どちらも望ましいものではありません。しかし、需要と供給のバランスが完璧に釣り合っている状態というのはまず起こり得ませんので、通常はインフレかデフレのどちらかに偏っている状態になります。

そのため、極端なインフレまたはデフレのどちらかに偏ってしまった場合、経済に深刻な影響を及ぼします。極端なインフレの例としては、第二次世界大戦直後の日本が挙げられます。多くの兵隊が帰国し人口が増えたものの、日本国内には物資が極端に少なかったため、物価が上昇しました。物価が極端に上昇することで、貨幣の価値も下落したのです。

また、近年有名なインフレの事例としてはジンバブエドルがあげられます。1999年から2008年の長きにわたり、ハイパーインフレを記録したジンバブエでは、最終的に2億3000万%というとんでもないインフレ率をたたき出しました。戦後日本の超インフレ時代でもインフレ率は約300%ですから、その極端さが分かるでしょう。

ちなみに現在は流通していないジンバブエドルには、最終的に100兆ジンバブエドル紙幣が登場し話題となりました。

経済的にはゆるやかなインフレが理想?

経済的には、緩やかなインフレが続くことが理想とされています。つまり少しずつ物価が上昇する状態です。インフレは一般的に、以下のような流れで、好景気のときに起こる現象とされています。

①景気が良く庶民の収入が上がる
②収入が上がった庶民が多くの買い物をする
③需要が供給を上回る
④物価が上昇する

この流れが緩やかに続くこと、つまり緩やかなインフレ状態が経済学的には理想とされているのです。

深刻なのはスタグフレーション

スタグフレーションとは、「停滞(stagnation)」と「インフレーション(inflation)」を掛け合わせた造語です。インフレは基本的に好景気により起こるものですが、スタグフレーションとは、「不景気にもかかわらずインフレが起きる」という深刻な現象です。

スタグフレーションに陥る原因はいくつか考えられますが、分かりやすいケースでは以下のような流れが考えられます。

①不景気で企業が人員削減および減給を行う
②労働力が低下し、物の供給量が落ちる
③供給量が落ちたことで需要が上回る
④物価が上昇する
⑤物価が上昇するも、労働者の収入は下がっているため物が売れない
⑥物が売れないので小売店も業務を縮小する

スタグフレーションはこういった流れで、不景気ながらインフレが起き、負のスパイラルに陥る現象です。

1970年代のオイルショックの際には、世界的なスタグフレーションに陥りました。石油などの価格が高騰した結果、工業などの生産性が急落。世界中で需要過多に陥る現象が起きたのです。

FXにおけるインフレ・デフレの基礎知識

ここまではインフレとデフレの基本について解説してきましたが、ここからはインフレやデフレがFX取引においてどのような影響を及ぼすのかを考えていきます。

短期取引ではあまり考慮しなくてよい

短期的なFX取引の場合、インフレとデフレはあまり考慮しなくてもよいと思います。

インフレとデフレは、長期的なスパンで起こる現象ですので、短期で行うFX取引であれば、さほど考慮する必要はありません。

しかし、どの通貨がインフレ傾向で、どの通貨がデフレ傾向なのかは、把握しておく必要があるでしょう。

インフレ通貨・デフレ通貨

インフレ傾向の通貨は、価値が下がっていることを意味します。価値が下がる傾向にあるのであれば、その通貨は「売り」ということになります。

反対にデフレ傾向の通貨は、価値が上がっていることを意味します。価値が上がる傾向にあるのであれば、その通貨は「買い」ということになります。

金利政策とインフレ・デフレの関係

ではインフレ・デフレは何を基準に判断するとよいのでしょうか。

それは各国の金利政策です。

インフレ・デフレの局面において、各国の中央銀行(日本であれば日本銀行)はどのような金利政策を行うのでしょうか。

インフレの場合、需要が供給を上回ります。物価が高くなるということは、物を生産している企業の収益は上がります。また供給が足りないので、さらなる増産を目指すために設備投資などが行われます。設備投資にはまとまった資金が必要となり、多くの企業が銀行から資金を借りることになります。お金を借りたい企業が多い場合、金利は上がることになります。つまり、インフレの場合には金利は上昇傾向になるのです。

一方デフレの場合、供給が需要を上回ります。商品が売れ残ることで物価が下がり、企業の収益も下がります。企業は規模を縮小する傾向に向かい、新たに銀行にお金を借りることはなくなります。お金を借りたい企業が少ない場合、銀行は金利を下げてでも貸し付けたいということになります。そのため、デフレの場合は金利が下降傾向を示します。

各国の中央銀行は、こうしたメカニズムに基づいて金利を調整し、極端なデフレや急激なインフレが起きないようにしています。どの国も目指しているのは緩やかなインフレ傾向で、その流れに沿うように金利を調整しているのです。

押さえておきたい金利関係のニュース

インフレの場合には金利が上がり、デフレの場合には金利は下がるという基本を知っておくと、FX取引の際、どの通貨を売ってどの通貨を買えばよいのかの傾向がつかめるはずです。

インフレ・デフレの傾向を知るために、各国の政策金利に関するニュースを日々チェックしましょう。金利政策は、経済状況によって、各国の中央銀行が常に変更する可能性があります。それだけに世界の経済情勢を日々確認することが重要です。

例えば、アメリカの失業率が発表されたというニュースは重要です。失業率が上がれば、アメリカは不景気になり、デフレ傾向に進む可能性が考えられます。そのためアメリカの金利政策は金利引き下げの方向に進むという予想もできる訳です。

まずは金利関係のニュースを注視し、慣れてきたら経済ニュース全般を幅広くチェックするようにシフトしていきましょう。

まとめ

インフレは物価が上昇する現象で、デフレは物価が下落する現象です。また、インフレでは通貨の価値が落ち、デフレでは通貨の価値が上がります。

長期のFX取引において、インフレ・デフレは重要な項目になります。インフレ傾向の通貨は価値が下がるので売りデフレ傾向の通貨は価値が上がるので買いが基本です。

各国の通貨がインフレ傾向にあるのかデフレ傾向にあるのかは、各国の金利政策を見ても分かります。金利が上がればインフレ下がればデフレ傾向と考えましょう。

最初は難しい単語の多い経済ニュースですが、少しずつ知っている言葉を増やすことで徐々に理解できるようになりますので、まずは経済ニュースをチェックする癖をつけるとよいでしょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました!



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