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金利と為替の関係とは? 「利上げ」による「為替」の変動について

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「円高・円安」「金利上昇・金利低下」などという言葉については多くの人が耳にしたことがあると思いますが、その関係性については意外と知られていません。金利は為替変動の大きな要因といわれていますが、実際に金利と為替はどう関連するのでしょうか。
今回は、金利と為替の関係性と、利上げによって何が起こるのかをかんたんに解説します。
     


金利とは?

金利」とは、お金の利息(賃借料)をいいます。

金利が低いとは、お金を借りやすいことをいい、これは国民がたくさんお金を借りて使うことに繋がりますので、経済の活発化につながります。

金利が高いとは、お金が借りにくいことをいい、これは国民がお金を使わないことに繋がりますので、経済が抑制される要因となります。

金利は物の値段と同じように基本的には「お金」に対する需要と供給のバランスによって決定します。

利上げとは?

「利上げ」は金融政策の一つで、中央銀行が政策金利を引き上げることをいいます。
政策金利とは、中央銀行が民間銀行へ貸しつけする際に設定される短期金利。
中央銀行は、通貨の発行や民間銀行の預金の受け入れ・貸し出し以外にも物価の安定を図る役割を担っており、経済状況や社会情勢に合わせて政策金利を上げ下げし、経済の安定を図っているのです。
一般的に、金融政策として利上げが行われるのは、インフレ懸念が高く景気が過熱しすぎているときです。好景気は一見問題ないように思えますが、加熱しすぎると物価や人件費が高騰し、私たちの生活も不安定になるでしょう。
中央銀行が利上げに踏み切ることで、市場金利は上昇し、民間銀行の金利が上がります。金利が上がると企業は設備投資を控え、個人も消費を避けるようになるため、物が売れにくくなり、物価の上昇も止まるという仕組みです。
このように、利上げによって景気全体の過熱は抑制できますが、消費を抑えすぎてしまう可能性もあるので、利上げに踏み切る際は慎重に判断しなければなりません。
なお、「利下げ」が行われるのは、景気が悪化している(=デフレが続いている)ときで、中央銀行の利下げにより市場金利が下落し、企業や個人の借り入れや消費を促す効果があります。

利上げと為替の関係とは?

次に利上げと為替の関係を考えてみましょう。

為替レート2つの通貨の交換比率なので、基本的には2国間の相対的な力関係・需要と供給のバランスによって決まります。為替レートを左右する力関係・需給バランスの変動要因として、2国間の景気動向や物価動向、金利動向などが挙げられます。

為替の変動要因となる景気・物価・金利の各動向は、利上げと密接に関係しています。今回は米国(ドル)と日本(円)との関係をみていきます。

まずは景気です。利上げを実施するということは景気が力強い回復を見せているといえます。米経済の成長力が日本経済に比べて相対的に強いとなれば、ドル建て資産に対する需要が拡大し、ドルの価値が上がります。その結果、ドル円相場は円安・ドル高(円売り・ドル買い)に振れやすくなるという流れです。

次に金利です。米国が利上げを実施すれば、米金利は上昇圧力が高まりやすくなります。一般的に、資金は金利の低いところから高いところへ流れるのが基本です。米金利が上昇すればドル資産への人気が高まり、為替市場では円安・ドル高の圧力が強まることになります。自国通貨を売ってドルを買い、金利の付く金融商品、例えば米国債などへの投資といった流れが考えられます。

最後に物価(インフレ)と為替の関係です。インフレは、1個100円だったモノが200円に値上がりするような現象で、この例では以前より2倍のお金を支払わないとモノが買えなくなる状態です。通貨としては価値が2分の1になっていることを意味します。利上げに動くことはその国の通貨高を誘う要因が相対的に多くなり、ドル円相場では相対的に円安・ドル高への圧力が強まる傾向になります。

まとめ

利上げは為替の変動要因の一つ

そもそも為替とは、2つの通貨が売買される際の交換比率で、市場における需要と供給のバランスによって24時間変動しています。
例えば、日本の金利が低く、米国の金利が高い場合、人々は金利が高いほうで預金や資産運用をしたいと考えます。結果、円よりも米ドルの需要が高まるため、円の価値が下がり米ドルの価値が上がる「円安ドル高」になるのです。

金融政策発表時は為替変動に注意

政策金利が発表されるタイミングは、為替が変動する可能性が高く、投資の際の判断材料として投資家やマーケット関係者も注目しています
為替は2つの通貨間のバランスで変動するため、日本銀行の発表はもちろん、米国や英国、ユーロ圏等の金融政策もチェックしておきましょう。

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