FXの税金は総合課税の雑所得扱いになり、他の投資とは税制が異なります。また、合算もできないので注意が必要です。
取引所FXも店頭FXも申告分離課税
株式の場合、特定口座なら証券会社が納付してくれますが、FXはそういう仕組みはありません。また、FXで20万円以上の利益がでた場合は、必ず自分で確定申告しないと脱税になってしまいます。反対に1年間の利益が20万円以下の場合は申告も納税も必要ありません。
2012年からは、税制改正に伴い、店頭FX取引に関する税制の扱いが変更されました。かつて取引所FXは所得に関係なく一律20%の申告分離課税方式、店頭FXは所得に応じて税率が変わる総合課税方式でしたが、これが申告分離課税方式に一本化されたのです。
また新税制によって、店頭FX取引で発生した利益と、「くりっく365」で発生した損失の「損益通算」が可能となりました。A社で利益が出て、B社で損失が出た場合、その両社の損益を合計して出た利益に対して20%の税金がかかるということです。
新税制のもう1つの特徴は、「損失の繰越控除」が可能となったことです。「くりっく365」または店頭FXで発生した損失について、翌年以降3年間にわたって繰越控除ができます。ある年に取引損が出て、翌年利益が出たら、その利益から前年の取引損の分を控除できるということです。
例えば、前年度に100万円の損失が出て、当年度20万円の利益が出た場合、翌年に80万円の控除額が繰り越せます。
2年目に50万円の利益があった場合も、税金を納める必要はなく、差し引きした30万円の控除額が繰り越せます。
確定申告について
サラリーマンやOLの方は経験がないかも知れませんが、自営業者などは毎年必ず行うものが確定申告です。前年の所得を申告して前年分の税金を納めるために行うもので、2〜3月に前年の所得について申告します。税務署や申告会場、あるいはインターネット(e-tax)で手続きします。
税金を余分に前もって納めている人は還付金として戻ってくることもあるので、場合によっては確定申告をした方が得な人もいます。株式の場合、特定口座なら証券会社が納税してくれますが、店頭FXはそういう仕組みはありません。
また、店頭FXは総合課税なので、何らかの形で別の雑所得などがある場合は、それと合わせて確定申告することになります。ただし、雑所得で生じた損失は他の所得と合算はできません。
専業主婦は扶養控除に気をつけよう
専業主婦がFXトレードをする際に注意していただきたいのは「税金」です。
所得税の対象となるような収入のない主婦の方々は、特に意識していただきたいと思います。
FXでの利益は税法上「雑所得」という所得にあたり、所得税の課税対象になります。
2018年の税制改正で、所得税の基礎控除額が引き上げられました。
これまでは合計所得が2400万円以下の場合、専業主婦で、FXによる所得が38万円以上あると確定申告が必要でした。
それが、改正により2021年の確定申告から10万円引き上げられて48万円(基礎控除)以上ある場合に必要となりました。
また、FXの所得が48万円を超えると、配偶者特別控除に該当しない限り、一般的には、配偶者の所得税の「配偶者控除」の条件からも外れます。
つまり、配偶者の所得税が高くなってしまうということです。
さらに、年間所得が130万円を超えると、配偶者の社会保険の扶養対象外になり、年金や社会保険料を自分で負担しなければならなくなりますので、ご注意ください。
なお、ご自身が配偶者特別控除に該当するかどうかの詳細は、国税庁のホームページでご確認ください。
FXでの経費について
実は、FXの売買利益から経費を引いて申告ができることはあまり知られていません。売買の利益からインターネットのプロバイダー料金や通信費、セミナー費用(それに伴う交通費も)、書籍購入費、筆記用具、消耗品などはすべて経費になります。ただし、FXの売買に使用する目的で購入したということでないといけません。
2012年以降は各税務署の見解によって経費が認められるケースと認められないケースがあるようですが、もし経費が認められたら税金が少なくて済むので、とりあえずFXにかかった経費も計上する準備をして申告会場に行くのがよいかと思います。
領収書をきちんと保管しておき、領収書のないものは日付と金額と用途などをメモで残しておき、確定申告のときに必ず持参しましょう。
2月になると確定申告の時期となり無料の相談所なども開設されますので、早めに申告会場に行って相談すると良いでしょう。
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