FXと株式投資との比較
投資対象
FXは通貨(外国為替)に投資
FXは世界各国の中央銀行が発行している通貨(円や米ドル、ユーロや英ポンドなど世界中の通貨)が投資対象となります。
一般的にFXではドル/円など通貨ペアと呼ばれる異なる2つの通貨の組み合わせ単位で投資を行います。
株は上場企業の株式に投資
株式投資は証券取引所に上場している企業の株式が対象となります。
証券取引所には数万単位の会社が上場しており、その中から投資に適した企業の銘柄を探し出し、そこに投資を行います。
投資対象の数
FXは10か国程度
FXは通貨に投資するのですが、実際に投資できる通貨はせいぜい10か国くらいです。世界の基軸通貨である、米ドル、日本円、英国ポンド、欧州のユーロ、カナダドル、高金利通貨として人気の豪ドル、NZドル、南アフリカランドと一般的にはこれら8か国の通貨へ投資できます。これらに加え、最近では香港ドル、シンガポールドル、人民元、ノルウェークローナ、超高金利のトルコリラ、メキシコぺソを売買できるFX会社もあります。
しかし、上記の通貨はマイナー通貨と呼ばれており、流動性(売買量)が小さく、安定しておりません。銀行や証券会社のディーラーもほとんど売買することはありませんので、個人投資家は手を出すことをしない方が無難でしょう。
株は約4,000種類
一方、株式取引での投資対象は日本株では約4,000種類もあります。そのため、株の取引ツールにはスクリーニング機能が備わっており、銘柄を絞り込むことが大変だということもあります。
しかしながら、その中には大化け銘柄となる株がいくつもありますし、自身の得意分野に絞れば、投資対象の数は一気に20数銘柄くらいにまで絞ることができるでしょう。
株式投資の投資対象は各種証券取引所に上場している企業の数になります。2022年時点での国内上場企業数は約3,800社以上あるため、その数だけ投資先の選択肢があると考えて良いでしょう。
変動要因
FXは金融政策や経済に依存
FXの変動要因は、その国の経済情勢や金融政策に大きく影響を受けます。経済が好調な場合や、中央銀行が利上げを行った場合にはその国の通貨は買われる傾向があり、価格は上昇します。
また、大規模な災害や国際的な事件が起きた時なども、為替市場は大きな影響を受けることが多くなります。
金融政策、経済状況、GDP、インフレ(CPI)、雇用情勢、個人消費、要人発言
株は企業業績に依存
株式投資は投資先の企業の業績が大きな変動要因となります。基本的に企業業績や景気が好調であれば株式価格は上昇しますが、企業業績が悪化すれば下落します。
また、グローバル企業だと海外の経済や為替、株式市場の変動にも連動します。
例えばドル円が円安方向に振れると、トヨタなど輸出企業の株価は上昇します。同様に、材料を海外から輸入している企業だと、原油や小麦の価格にも大きく影響します。
企業業績、為替、海外市場、商品価格、関連会社の業績
値動きの違い
FXの値動きは1%程度
FXには原則的に値幅制限はありませんが、1日1%程度の値動きにとどまることが多く、何か大きな出来事があったとしてもその値動きは3-4%程度にとどまります。年間で見ても最大30%程度の値動きとなります。
理由としては、通貨の価値は国の経済状況を表していることもあり、あまりに大きな値動きには各国中央銀行や政府などが介入を行って自国通貨を安定させようと動くからです。また、多種多様な目的を持った取引参加者が大勢いるため理性的な値動きに留まりがちです。
株の値動きは1%~3.6%程度
株式投資には値幅制限がありますが、FXに比べてはるかに大きく動くのがその特徴です。株価が1年で10倍となる銘柄(テンバガー)も一定数で存在しており、1年で100倍となる銘柄も存在しました。
※日経225上場投信(1321)は、日経平均株価に連動した運用を目指す上場投資信託
反対に、投資した会社が倒産すれば株価は0円となるリスクがあります。このように株式投資はFXに比べて値幅が大きく、損失が発生するスピードもFXに比べて速い点には留意が必要です。
金利の受け取り時期の違い
FXはスワップ(ポイント)
FXにはスワップ(ポイント)と呼ばれる金利差を受け取るまたは支払う仕組みがあります。これは、365日で割った金利差を営業日ごとに受け取る、または支払うものです。金利差を受け取る側になるには、金利の高い通貨を買いで保有します。金利差を受け取ることができ、またその金利差も投資資金に連動して25倍もらえることは大きな魅力です。
株は配当金
一方、株式には配当金があります。この配当金は、年に1回か2回(会社ごとに違います)もらえることができ、権利確定日にだけ持っていればもらえるという高いメリットがあります。もちろん、権利を獲得した直後に大きく売られる場合もあるのでリスクは高いですが、こちらも大きな魅力です。
業況のよい企業の株式を保有していれば、投資金額に対して数%の配当金を受け取ることができ、場合によっては定期預金等よりも高い利回りを得ることができます。
また、配当とは別に株主優待が用意されている会社も多数存在し、株式を保有しているだけでその会社のサービスや商品を使うことが可能です。
ただし、株式投資ではレバレッジをかけられないため、配当や株主優待を受けるのであれば 、まとまった資金が必要になります。
レバレッジ
FXは25倍
FXは証拠金取引となり、レバレッジをかけることが可能です。日本のFX会社では法律によって25倍までのレバレッジをかけられます。
レバレッジをかけることにより、資金効率を高めて取引をすることが可能になります。
株式投資は自己資金の約3.3倍まで取引可能
株式投資は基本的に現物投資ですので、レバレッジをかけることはできません。
ただし、信用取引では自己資金の約3.3倍までの取引を行えます。しかし、信用取引は「6ヶ月以内に清算の義務」があることと、お金を借りていることから毎日僅かながら「金利の支払い」が発生します。また、FXではほぼ皆無である追証が発生することもあります。
必要な最小資金
FXで必要な金額は、レバレッジをかけることができるので、「通貨ペアの時価×購入数量÷レバレッジ」が投資金額です。
FXトレードでは、1,000ドル(1ドル100円)のドル/円の買いポジションをレバレッジ25倍で投資する場合、1000×100円÷25=4,000円となります。このケースでは4,000円から始めることができ、レバレッジの分だけ少ない資金で投資を始めることが可能です。
取引可能な時間
FXは平日24時間
FXの取引可能時間は月曜日の早朝から金曜日の深夜を過ぎた土曜日の朝まで、平日はほぼ24時間取引することができます。
このように為替市場は、24時間切れ目なくどこかの国の市場が動いています。日本時間の深夜や早朝もトレードできるので、FXはどんなライフスタイルの人でも参加することが可能です。
株式取引は9時~15時
株式投資の取引可能時間は、証券取引所が開いている時間のみです。
日本の証券取引所であれば、原則平日の9時から15時までしか取引することができません。11時30分から12時30分までは昼休みなので、その間も取引が止まります。つまり、1日のうち実質5時間しか取引できません。
なお、証券取引所を介さずに株取引ができるPTSを使えば、夜間取引も可能になります。
FXは「シンプル・少額・平日24時間」が魅力
FXは投資先の選択肢が少ないため、株式投資のように投資先の選定で悩む必要がありません。また、レバレッジをかければ少額で始めることができるので、「投資を初めてみたい」という人に向いています。
さらにFXは平日24時間取引可能なので、どんなライフスタイルの人でも、投資に集中する時間を作ることができます。少ない資金で24時間シンプルに投資ができるという点で、FXの方が投資初心者に向いていると言えるでしょう。
まとめ
株とFXは、似ているようで実は色々と違いがあります。
最後に、この記事で紹介した株とFXの違いを振り返りましょう。
カテゴリ | FX | 株式 |
投資対象 | 世界各国の中央銀行が発行している通貨 | 上場企業の株式 |
投資対象の数 | 実際に投資できる通貨は10通貨程度 | 上場株式数(4,000社以上) |
変動要因 | 景気・金融政策・世界情勢など(マクロ経済) | 企業業績(ミクロ経済) |
値動き | 日に1%程度(年間30%程度まで) | 日に1%~3.6%程度(年間100倍も有り得る) |
金利の受取時期 | スワップポイント(毎日) | 配当(基本年2回) |
レバレッジ | 25倍 | 約3.3倍(信用取引) |
必要な最少資金 | 数千円~ | 数万円~ |
取引時間 | 平日24時間 | 平日9時~15時(昼休みを除く) |
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