FXをはじめる前に
FXは株よりも少ない資金で取引ができることも魅力の1つといわれており、リスクの低い運用からリスクの高い運用まで、さまざまなスタイルでの投資ができる自由度の高い金融商品であるので、特徴をよく理解しないまま取引を開始すれば大切なお金を危険に晒してしまうかもしれません。
FXの特徴や仕組みを理解してから取引を開始しても遅くはありませんので、この機会にしっかりと身に着けておきましょう。
投資は必ず余裕資金で
「投資は余裕資金でやりましょう!」
これは、皆さんがよく耳にするフレーズです。この「余裕資金」の捉え方は、人によって様々ですが、ここでは、「万が一、なくなってしまっても大丈夫」くらいに捉えたいところです。なぜなら、投資ではどんなことが起こるか分からないからです。 想定外のことも起こり得るのが投資です。そのようなときでも、諦めないで投資を続けるには、もし失敗しても、やり直せる「余裕」を持つことが大切です。
それは「心の余裕(冷静な判断力)」、「時間の余裕(中・長期投資が基本)」、「資金の余裕(余裕資金で)」の3つです。
また、FXは一般的にはハイリスクと思われていますが、これは高いレバレッジをかけられるからです。しかし、FXのレバレッジは決められたものではなく自分で調整できるので、FXを始める前には必ずレバレッジの考え方を理解し、自分の許容できるリスクに応じてレバレッジをコントロールするようにしましょう。
買値と売値
FXの売買では外貨を買うときと売るときに適用されるレートは異なります。買値と売値について見ていきましょう。
買値と売値の差は手数料
銀行で円を米ドルに両替する際、レート表示には「円貨→外貨」「外貨→円貨」の2種類の価格が表示されています。
たとえば、円貨→外貨が100円のとき、外貨→円貨は98円となります。
どうして2つの数字があるのでしょうか。
それは、この差額分が銀行の受け取る手数料(スプレッド)になっているからです。手数料として2円も取られてしまうため、為替の値動きを狙って銀行の両替で利益を得ようと思ったら2円以上円安になってから売る必要があります。このように手数料が高いので、銀行の外貨両替で為替差益を狙った売買は難しいのです。
こうした銀行の手数料は外貨両替の場合だけでなく、外貨預金にも適用されます。
FXは手数料が格安
1ドルにつき手数料が2円ということは、1万ドルに対しての手数料は2万円。米ドルの定期預金の金利は0.01%ですが、そこから税金で20%引かれるので、実際に受け取れる金利は0.008%となります。
たとえば1ドル=100円のとき、1万ドルの定期預金を設定したとします。この1万ドルに1年間でつく利息は80円。1年後、為替レートが1ドル100円のままだとして、このとき1万ドルを売って円に替えたとすると、手数料2万円が差し引かれて、結局手元に残るのは98万80円。つまり、1年間の金利収入よりも手数料の方が上回ってしまい、損することになるのです。
これに比べて、FXの手数料は、1万ドルに対して30円~数百円です(FX会社による)。2023年4月現在、1万ドルで180円ほどのスワップポイントが毎日つくので、1年間では
365日×180円=65,700円
となります。手数料を引いても60,000円以上の金利収入が見込めるわけです。
通貨ペア
FXでは取引対象について「通貨ペア」という言い方をします。どの通貨ペアを取引するかで戦略は変わってきます。
ドルを買うってどういうこと?
「ドルを買う」という言い方をしますが、正確には日本円を売って米ドルを買っていることを表します。外貨取引は2つの通貨の交換です。したがって、円以外の通貨同士を交換する取引も行われます。たとえば米ドルとカナダドルなど組合せは無数にあります。
ただし、主要な通貨以外の取引量は多くありません。米ドル、ユーロ、円は世界を代表する主要な通貨なので、その取引量は他の通貨よりも圧倒的に多く、このため、FX会社もドルとの通貨ペアを主に取り扱っています。もちろん、日本の円との通貨ペアも取り扱っています。
円以外の通貨ペアも取引が可能
FX会社の口座では、外貨同士の通貨ペアを取引することもできます。世界で一番取引されている通貨ペアは「ドル/円」ではなく「ユーロ/ドル」です。ドルを売ってユーロを買う場合は「ユーロ/ドル」の「買い」という言い方をします。逆にユーロを売ってドルを買う場合は「ユーロ/ドル」の「売り」という言い方になります。
FXの通貨ペアでは「ユーロ/ドル」のレートが1.15と定時されている場合は、1ユーロ=1.15ドルということを表しています。「ユーロ/円」の場合は、ユーロの値段を円で表示していますので、「ユーロ/円」のレートが150となっているときは、1ユーロは150円という意味です。
FXの売買においては、「買い」の場合は常にスラッシユの右側の通貨を売って、左側の通貨を買う取引になります。
基軸通貨
基軸通貨とは?
基軸通貨とは国際通貨の中でも中心の通貨として捉えられ、支配的な役割を占めている通貨です。
このため、基軸通貨は世界中の国際取引の決済に用いられたり、外貨準備としても需要も大きく、自国外での取引量も他の通貨に比べると圧倒的に多いという特徴があります。
政治力、経済力、軍事力において世界の中心となっており、信用力が一番強い国の通貨が基軸通貨となります。
かつて英国が政治力、経済力、軍事力ともに世界の中心となっていた時代にはポンドが基軸通貨として活躍していた時代もありました。現在は米国が、政治力、経済力、軍事力ともに世界一であるため、米ドルが基軸通貨となっています。
基軸通貨を中心に考える
FX取引では全ての取引が基軸通貨を介して行われる!?
FX取引では、ポンド円のように米ドルを含まない取引が行えますが、この取引は実は、「ポンドドル」と「ドル円」という基軸通貨のドルを介した2つの取引を行ったことになります。
具体的にはポンド円の買いの取引を行う場合は、ポンドドルの買いとドル円の買いを行っているということです。
FXの取引量も基軸通貨を介した取引が多い
前述の通り、FXの取引では基軸通貨を介して取引が行われるということもあり、米ドルを直接含む通貨ペアの取引量が圧倒的に多くなっています。
取引量が多いということは、流動性が高いと言い換えることができ、流動性が低い通貨ペアに比べると値動きが滑らかになる傾向があります。
時代とともに基軸通貨は変わる
基軸通貨は、時代によって変わっていくものです。
第2次世界大戦までは英ポンドが基軸通貨として使われていました。世の中が安定していて、新興国などに対して高い期待が持てる時期は、高金利の通貨に対して積極的に投資が行われます。
反対に、世界情勢に不安がでてくると投資家は安全志向が強くなり、リスクの少ないドルやユーロ、そして永世中立国で避難通貨として人気のスイスフランなどに資金を移動させる傾向が強まります。
個人投資家にとってはドルだけでなく、ユーロ等もバランスよく保有することが安全な道といえます。特定の通貨だけで運用していると、損失を被るリスクも大きくなるからです。
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